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   Q 乳がんは予防できるのでしょうか(化学予防について)?
 
 
   

 
 
前回は遺伝子を調べることによって、乳がんになりやすい人が分かるかという話題でした。しかしこのような人に対する救済処置はないのでしょうか? 乳がんを予防する方法はないのでしょうか? 現在、術前化学療法により、小さい乳がんは消せてしまう時代が来つつあります。しかし乳がんを予防できればそれに越したことはありません。これからは「乳がんを治す時代」から「乳がんにかからない時代」になっていくのでしょうか?
 

 
乳がんの手術を受けた人でホルモン剤の効果がある場合は、ホルモン治療が有効な手段です。ホルモン剤の代表がタモキシフェンです。タモキシフェンが対側乳がんの発生を減少させるという大規模なデータは二つあります。
 

 
ひとつは、2000年のEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)というものであり、3万7千人の患者様にタモキシフェンを5年間投与した結果、再発抑制効果のみならず対側乳がんの発生率が半分に減少したものです。もうひとつはNSABP B-24トライアルという乳房温存術を施行した、乳管の中に留まる乳がん(非浸潤性乳管がん)の患者様にタモキシフェンを5年間服用させた結果、温存乳房再発率、対側乳がん発生率ともに減少したというものです。
 

 
また、閉経後の患者さんは、副腎から男性ホルモンが分泌され、それを女性ホルモンに変換するアロマターゼという酵素を阻害する、アロマターゼ阻害薬が有効とされています。そのうちのアナストロゾールという薬とタモキシフェンの効果を比較したATAC(Arimidex, Tamoxifen, Alone or Combination)トライアルというのがあり、アナストロゾール投与群は、対側乳がんの発生を減少させたというデータがあります。以上により、乳がんに罹患した患者さんに対する対側乳がん発生予防には、ホルモン剤が有効であることは証明されました。
 

 
それでは現在乳がんではないが、将来乳がんに罹患する危険性が高い人に対する予防についてはどうでしょうか? それにはどのような人が乳がんに罹患する危険性があるか? いわゆる高リスク群を見極めることが重要です。
 

 
高リスク群を見るための指標として、Gailモデルというものがあります。これは、年齢・初潮年齢・未産婦、初回出産時の年齢・乳房手術の回数・その手術により、異型過形成の病理診断を得たもの・血縁の乳がん患者の数により、5年間の乳がん発生リスクが1.66%以上を高リスク群としたものです。全米総合癌ネットワークでは、このような人々に対して、リスク軽減のための治療に関するカウンセリングを行い、希望者には、再建を含めた乳房切除術を施行するか、科学予防を希望する人に対しては、タモキシフェンを投与するか、化学予防の臨床試験に参加してもらっています。
 

 
化学予防、すなわち現在乳がんではないが、将来的に乳がんに罹患する率の高い人に対して行われている予防が欧米諸国でホルモン剤を中心として、研究が進められています。その代表的なものにNSABP-1試験というものがあります。これはGailモデルを基準に算出した乳がん発生リスクが1.66%を超えた13,388人の女性を対象に、タモキシフェンを5年間服用した群と、偽薬を5年間服用した群を比較したものです。その結果ホルモン感受性のある乳がんで約50%の発生率が減少しました。化学予防は長期的に行うのが原則であるため、副作用が少ないものが選択されるべきです。また値段が安く、経口投与が可能なことなど、負担が少ないことも条件です。また、長期投与による効果も証明されていなくてはなりません。
 

 
以上の理由から、化学予防はホルモン剤を使用するのがベストと考えられています。しかし、ホルモン剤には、子宮体癌の発生や血栓症などの副作用もあるものがあるので、慎重に選択しなければなりません。また日本ではまだ、カウンセリングなどの支援体制も充分ではありません。これらの諸問題を解決すれば、乳がんはある程度予防されるようになるのかもしれません。

(平成17年4月20日)
 
 
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