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   Q 乳がん検診の最近の動向?
 
 
   

 
 
近年、乳がん検診の様式に関して、視触診単独法を廃止し、マンモグラフィ併用法に変更する市町村も次第に増加してきています。そこで今回はマンモグラフィ併用乳がん検診の現状と問題点についてお話しいたします。
 

日本の乳がん検診が国家レベ ルとなったのは、1987年からです。厚生省は老人保健法に基づく保健事業に乳がん検診を導入し、視触診法を標準方式とする乳がん検診が全国レベルで開始されました。これにより乳がん罹患数の増加が明らかになりました。
 

 
しかし、欧米諸国の乳がんによる死亡率が減少しているのに対し、日本のそれはむしろ増加傾向にあります。現時点でもその傾向がみられます。欧米では早くから乳がん検診にマンモグラフィを取り入れている国が多く、これが死亡率を減少させる一要素となっている可能性が示唆されます。視触診を行っている国でも、必ずマンモグラフィを併用しています。
 

 
そこでわが国も、2000年3月に50歳以上の女性には視触診法とマンモグラフィ併用の隔年検診を厚生労働省通達(老健法第65条)として開始しました。しかしこれだけで死亡率は変わるでしょうか? この検診を受診する住民がいなければ、意味がありません。一般的に、乳がん検診において救命効果が現れる受診率は30%を超えてからといわれています。しかしわが国の現状は約12%であり、効果が現れる数字の足元にもおよびません。ちなみに米国のマンモグラフィを併用した乳がん検診の年間受診率は、約70%であり、明らかな差があります。これは精度の問題と、国民の関心の差があるからでしょうか?
 

 
では、国民に関心を持ってもらうにはどうしたらよいでしょうか? それは、啓発活動を行うことだと考えております。乳がん検診の必要性をアピールすることと、自己検診を普及させることがとても重要です。くしくも一昨年は、10月の乳がん検診月間の前から、乳がんに関する情報が新聞やテレビで盛んに報道され、どこの乳腺外来も混雑するほど国民の関心は高まっておりました。なかには、国民を不安に陥れるような報道もありましたが、多くの人々が自分の乳房に関心を寄せたことも事実です。また自己検診の指導も、各医療機関、保健所、乳がん体験者グループなどにより浸透してきています。それでは、マンモグラフィ併用検診は起動に乗っているのでしょうか? しかし残念ながらそれには、精度の問題で、もう少し時間がかかりそうです。
 

では、マンモグラフィ併用検診精度を上げるには……
1.同じ条件で撮影できる装置の確保。
2.よりよい条件で撮影できる放射線技師の確保。
3.フィルムを確実に読影できる医師の確保。
4.全国統一の診断基準の作成。
 
以上が必要になってきます。放射線技師については、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)というものがあり、試験を受け、合格した者(施設認定マンモグラフィ装置、読影認定医師、撮影認定技師)が会のホームページに掲載されています。また、読影診断基準についても、統一されたものが作成済みです。

もちろん、現時点で問題点もあります。マンモグラフィの所有台数と、撮影や読影する側です。2000年以降マンモグラフィ検診は増加してきていますが、「2002年度全国乳がん検診の現状」という厚生労働省の報告を見ると、乳がん検診を実施している市町村は97.1%に達しているのに対し、マンモグラフィ検診を実施している市町村はわずか48%でした。これは導入後3年を経過した時点でも、その普及が決して本当の普及に結びついていないということになります。そして、その、導入が進まない大きな理由は、マンモグラフィの高価な価格にあるといえるでしょう。しかし、視触診単独による乳がん発見率が0.11%であるのに対し、マンモグラフィ併用では0.19%と明らかに高くなっています。この数字からも必要性がうかがえることから、厚生労働省は2005年度国家事業として、全国の都道府県に対して、78億円の予算で、500台のマンモグラフィの緊急整備を図ることを決定しました。これで2005年度には90.6%の市町村がマンモグラフィ併用検診を実施することになります。しかしマンモグラフィの数を増やしても、撮影技師、読影医師を増やさなければ意味がありません。現在多くの読影医は大学病院などの大病院に勤務しています。大病院は精密検査機関であり、検診に携わっていない施設もあるので、全体的に読影医不足となってしまいます。その現状打破のためにも、精中委は講習会の開催を増やしています。
 

 
そのほか、検診年齢の問題もあります。以前の検診対象年齢は50歳以上でした。乳がんによる死亡率だけをみると確かに50歳代以上が多いのですが、罹患率に関しては45〜50歳に多いのが事実です。ですので、この年齢の国民に視触診のみの検診では危険なのです。そこで2003年12月、厚生労働省の「がん検診検討会」で、乳がん検診のあり方、特に40歳代へのマンモグラフィ導入の是非とその方法が審議されました。その結果、検診によるがんの死亡率減少の観点から、視触診単独による検診は廃止され、マンモグラフィによる2年に1回の検診を40歳以上の国民に実施するという提言が盛り込まれました。具体的な対策については、今後講じられていくのですが、40歳代の乳腺は密度が濃いことから、マンモグラフィのみでは診断が困難なことがあり、超音波検査等の効率的導入も考えていかなくてはならないでしょう。
 

 
これらのことをクリアして初めて、わが国の乳癌検診はすばらしいものになったといえるでしょう。そしてそれに伴い、乳癌死亡率も必ず減少してくることと思います。

(平成16年10月17日)
 
 
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